自動車ゲームの原点はやはりレースゲームです。
武装カーでイリミネーション、武装カーで箱庭フリーローム、そんなゲームが出てくれば「じゃあ俺たちは武装カーでレースゲームを作ります」と原点に立ち返る連中が出ても決しておかしくはないでしょう。まぁそれってだいぶ捻じ曲がった原点ですが・・・・。
しかし武装カーによるレースゲームを成立させるには、ひとつの大きな問題が立ちはだかります。それは「レース要素と銃撃(シューティング)要素は、案外相性が悪い」という深刻な問題です。
ぶっちゃけ我々はFPSなどで、人間が走り回る程度のスピードに翻弄されて四苦八苦しながら照準を合わせている有様です。
それを時速200キロ平均で走り回る車をコントロールしながら、同時に銃器の照準の狙いをつけてタイミングよく発砲しろとは、どだい無理な注文でしょう。
この流れで扱っている武装カーとは少しジャンルが違いますが、ワイプアウトに代表されるいわゆる反重力レースものは、この問題を克服するためにホーミング系統の武器が主力の構成になっています。
しかし、やはり武装カーゲームは、火薬の臭いと硝煙漂う中、鉛の弾を相手の鋼鉄のボディに甲高い音と共に食い込ませてなんぼの世界。
およそ破壊の快感に縁遠い反重力レースゲームのSFチックな武器など論外なのです。
そんなカーレースと重火器デストラクションの両立に、無理を承知でチャレンジしたこのFULL AUTO。
そして本作は、そんな無茶な両輪をバランスよく巧みに調整しての軟着陸に成功しました。
白黒つける基準は原則としてレースの順位。そうなるとシューティング部分はほったらかしてレースに専念し、常に最速ラインをキープする事に終始していれば手っ取り早いんじゃないか。
そのように考える不届き者が居てもおかしくはありませんが、ニトロとタイムシフトの存在がその様な不遜な考えの歯止めになっています。
ニトロのブーストゲージは、派手なドリフトやジャンプなどの最速ライン追及とはおよそ相反する行為によって、タイムシフトゲージはライバル車や周囲のオブジェを破壊したポイントによって、それぞれ溜まっていきます。
爆発的な加速を得られるニトロは勿論ですが、それ以上に重要なのが不測に事態に遭遇した時に、時間をぎゅるぎゅると巻き戻してやり直せるタイムシフト。
派手にクラッシュした時やライバル車に手痛い一撃を喰らった時などは勿論、コーナーに進入する角度を間違えた時なども、ちょいとやり直しが効いたりするので大変便利ですよ。
ただしオンライン対戦モードでは、この本作の最大の特徴であるタイムシフトが使えなくなるのが残念なところ。
もっともマルチプレイでみんながみんな時間巻き戻しを好き勝手に使い出したら、ゲームとして成立しなくなるので無理もないですけど。
実にしょうもないノリの公式サイト(激重!)も極々一部で話題となったりもしました。これを見ればゲーム中の破壊シーンをいっそう味わい深く感じられる事でしょう。
全六話のメイキングムービー、必見です。セガ研究室恐るべし。
XBOX360のソフトラインナップの中でも比較的初期の作品のため見過ごされがちですけれど、深みには欠けるけど手軽に遊べるクソ爆発な秀作です。
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