据え置き機用のゲームを携帯機に移植するなんて無茶を、アメリカ人はよくやります。
しかもそれは、日本のメーカーのように携帯機向けのスケールに落とし込んで移植するのではなく、据え置き機版のスケール感を、そのままに携帯機に持ってこようというのですから、そりゃあ端から無理な相談というものです。
ゲームボーイアドバンス用クレイジータクシーとかジェットセットラジオなんて、そんな無茶の産物を目の当たりにしてずっこけたことも度々ですが、中にはゲームボーイアドバンス版シムシティ2000みたいに、「その気になってやろうとすれば、できるもんなんだなあ……」と、半ば呆れつつ感心するものにも、たまーにお目に掛かったりして。
まあでも、GBAにしろ、DSにしろ、PSPにしろ、基本的にはゲーム用ハードですから、まだそんな無茶もなんとかなります。
しかし、元々ゲーム用の入力デバイスを備えていないiPhoneは、そういうわけにはいきません。
傾きセンサーなどを利用して、iPhone用にチューニングされたゲームを一から作ることは可能でしょうが、しかし、移動、視点操作、武器発砲と、三つの操作を常に同時要求されるFPSは、そういう訳にはいかないでしょう。
しかし、Doom、CoD、Duke Nukem、BIAと、既存FPSのiPhone移植は後を絶ちません。
それは何故か。彼らはこう答えるでしょう。「それはFPSこそが、我々にとってゲームそのものであるからだ」と。
そしてこう付け加えるかもしれません。「それにFPSって、案外iPhone向きの素材じゃん?ほら、いちいちカーソル合わせなくても、相手をタップすればいいんだし」
勿論そんな妄言に対しては「移動の問題が何一つ解決されてねえだろ!」と返させていただきますけどね。
人間を食料とするエイリアンに拉致られたネイティブインディアンの青年が、グロテスクで奇々怪々なエイリアンの施設の中で、奇天烈な銃撃戦を繰り広げるFPSの隠れた傑作、Prey。
そのPreyまでもが、iPhoneに無理矢理移植。
このiPhoneアプリ版Preyの開発を担当したのは、MachineWorks Northwestという会社。ここは他にiPhone版のDuke Nukemを手がけたところでもあります。
3D Realmsは、本家のPreyと同様、監修として名を連ねるのみ。
画面左側のスライダーをタッチ操作して移動。画面右側のスライダーで視点移動。銃撃するには相手をタップ。
説明すると簡単そうですが、実際にやってみればお分かりになるように、明らかに無理がある操作システムです。
画面の左右に親指を配置して、照準合わせ用に両人差し指を画面にかざしてみると、はい、案の定指に隠れて画面がさっぱり見えません!
それに正直な話、左右スライダーを操作しての移動と、画面をタップする行為って、さっぱり両立しないものですよ。
回り込んでくる敵なんかには、さっぱり対処なんてできませんて!右親指で視点移動しながら右人差し指で敵をタップ?無茶言うな!
それでもなんとか先に進んでいくことができるのは、このiPhone版Preyが、本家と同様のゲームオーバーが存在しないシステムを採用しているから。
死ぬと一旦冥界に落とされて、そこで体力とサイキックパワーを補充して、死んだ場所で再び復活するというアレです。
他にも、幽体離脱や重力無視の移動通路、ワープホールなど、本家Preyに出てきた様々なギミックを、ほぼそのままにフィーチャー。
タイニー版とは言え、確かにしっかりと本家Preyを再現しているところは、実に大したものです。
本家Preyの移植作としても、そしてiPhoneアプリのFPS作品の中でも、極めてクオリティの高い作品。
これが発売当初は350円。現在ではなんと115円で購入できてしまうのですから、コストパフォーマンスの高さは折り紙付きです。
多少の不自由さも、iPhoneアプリなんだからしょうがないと思えば、呑み込んでしまえるでしょう。
ただ、このPrey Invasionは、あくまでもチャプター1。以後、継続してチャプター2、チャプター3にあたる作品が登場するはずだったのですが、3D Realmsがあんなことになってからは、その肝心の続編の話もまるっきり音沙汰無し。
このiPhone版Preyシリーズといい、本家のPrey2といい、Duke Nukem Foreverといい、3D Realms絡みの作品は、いずれも今後の展開が不透明になったままなのが、なんともはや。
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